2016-01-26

ペザントチェア



家具の中でも椅子は取り分け魅力的に思います。
木工の修行を始めた時、いつかは自分も椅子を作れるようになりたいと思っていました。

ペザントチェアは、座板に穴をあけ背板や脚を打ち込み、楔(くさび)で止めたシンプルな構造。
それだけに、座をえぐったり面を取ったり、背板や脚の傾きなど
より座り心地や使い勝手の良い椅子になるよう心を配ります。
脚の開きも前後同じではなく、前脚は左右に張るように、後ろ脚は後方に突っ張るようにします。
そこに人が座ることを考えて。
脚先をどこに持って行きたいかによって、脚の角度や向きが決まるわけですが、
その理屈が分かった時は、何て面白いんだろうと思いました。

念願叶って、初めて作ったのがこの椅子です。
背板はもともと反りがあったので、それを活かして僅かに湾曲させ、体への当たりを和らげたつもりです。

一人暮らしを始めたアパートに持ち帰った日から35年。
私にとっては長い付き合いですが、この椅子の一生はまだ始まったばかり
(そうあって欲しいと願っていますが・・・)

人よりすっと長い寿命を持つ木の家具。
その年月に耐えられるよう

丈夫で飽きのこないものを作りたいと思っています。


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